毒じゃなくて、的確なアドバイスって言ってほしいなぁ。
「着陸に成功したそうだ! この機で最後か!?」
「ああ! 他の機も全て無事だ!」
透花たちの乗る機体は、無事に地上へと戻ってきた。
大きな衝撃もなかったので、怪我人もほぼ零で済んだだろう。
その事実に、管制室は大いに湧く。
皆の様子を横目で見ながら、湊人は部屋を後にしようとした。
しかし、それを阻むようにエンジニアに声を掛けられる。
「君! 待ってくれ! 君のおかげで本当に助かったよ!」
「お役に立てて何よりです」
「一体、どんなお礼をすればいいのかわからないレベルだ……!」
「お気になさらず。褒賞は、しかるべきところからいただきますので」
「いや、そうはいかないさ! どうにかしてもてなさせてくれ! そうだ! この後時間はあるか? 後処理が全て終わってからになるが、宴会でも催そう!」
「では、一つよろしいでしょうか」
「ああ! なんでも言ってくれよ!」
湊人は得意の営業スマイルで、さらりと毒を吐き始めた。
「そんな時間があるのなら、今後は二度と他者から侵入されないような強固なシステムを完成させることを優先した方がよいのではないですか? はっきり言って、あなた方のシステムはガバガバです。ハイジャック犯ではなく、私でも侵入できるレベルですよ。またこのような事件が起こってその度に現場まで駆り出されるのはこりごりですので、よろしくお願いしますね。では、私はこれで」
爆弾を投下した湊人は、呆気に取られているエンジニアを尻目に今度こそ管制室を出て行ったのだった――――――――――。