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高度一万メートルにて
この日、透花と柊平と湊人の三人は任務に出ていた。
一つ目の任務を無事に終え、空路で移動することになる。
次の任務には透花と柊平のみで赴くため、湊人とはここでお別れだ。
「じゃあ、僕はこれで。二人とも、よい空の旅を」
湊人とこのような会話を交わしたのは、一時間ほど前のことだっただろうか。
平穏な空の旅は、機長からの放送によって終焉を迎える。
『当期は、何者かによってハイジャックされました!』
この一言で、乗客たちは混乱の渦に巻き込まれた。
キャビンアテンダントが必死に宥めようとするが、ほとんど届いていない。
だがしばらく経っても、ハイジャック犯はやって来なかった。
飛行機も、至って普通に飛んでいるように感じられるのだ。
不思議に思った透花は、席を立つ。
「柊平さん、行こう」
「はっ。鎮圧に向かわれるのですか」
「うん。犯人が機内にいるなら」
柊平は、軍人故に特別に持ち込むことが許されている剣を携える。
未だ混乱に包まれる客室を抜け、二人はコックピットへと急ぐのだった――――――――――。