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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
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おはようっ! いい天気だね!

 文化祭が終わり、数日が過ぎた。

 イベント特有の空気に包まれていた学校は、すっかりいつも通りの風景だ。

 この日、颯はいつもよりも登校時間が遅れていた。

 どうしても髪型が決まらず、なかなか家を出られなかったのだ。


(やべー……! お、女がいる……!)


 女子生徒を恐れ、普段は早めの登校を心がけていた。

 少しでも女子との接触を減らすための努力の一つである。

 だが現在は、ちょうど登校時間のピークらしい。

 颯が通う高校は男女別学だが、門は共有している。

 校門は、多くの生徒でごった返していた。

 心が部活の朝練習に行ってしまっているため、頼れる者はいない。

 颯は足元を見ながら、ひたすら歩き続けていた。

 そんな彼に、声をかける者がいる。


「お、緒方くん! おはようっ!」


 後ろを振り返ると、そこには寧々が立っていた。


「きょ、今日はいい天気だね! それじゃあっ!」


 早口でそれだけ言うと、颯の返事も聞かずに走り去ってしまう。

 残された颯は、一瞬の出来事で何が起こったのか理解できていない。


(あ、挨拶できた! 返事はなかったけど、今はこれでいいんだっ)


 今の寧々は、颯と会話をすることすらままならない。

 笑顔を向けてもらうことなど、夢のまた夢である。

 そう感じた寧々は、とりあえず挨拶をすることから始めたようだ。


(少しずつでもいいから、仲良くなりたいなぁ……)


 寧々が自分の感情に付けた名前は、”恋”。

 少女の初恋は、まだ産声を上げたばかりなのだ――――――――――。

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