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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
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おーおー、青春だなー。

 透花の放った矢は、美しい軌道を描きながら的の中心を射抜いた。

 静かな弓道場に、部員たちの感嘆の声が響く。


「透花さん、すごいっすね!!」

「真ん中に当てるのって、ほんとに難しいのに……」

「自分でも驚いちゃった。ビギナーズラックってやつかな?」


 三人が話していると、近付いてくる者がいた。


「おーおー、すげえな。弓道部の奴らでもなかなかできない芸当だぞ」


 弓道部の顧問であり、心と颯の担任でもある竹彪だ。


「緒方が一緒ってことは、噂のパンケーキ美女か」

「パンケーキ美女?」

「さっきクラスの模擬店に顔出したら、その話で持ち切りだったぞ。すごい美女が来たと思ったら、まさかの緒方の知り合いだったって。注文した品にちなんで、パンケーキ美女と言うらしい。いやー、まさかお前に彼女がいたなんてな。先生は嬉しいぞ」

「彼女じゃないっすよ!」

「あれ、違うの? じゃあ結城の彼女か? 見た感じ知り合いっぽいし」

「……違う」

「おっ、なんだなんだ。二人とも草食系男子ってやつかー?」


 竹彪はそう言うと、ニヒルな笑みを作る。

 だが心と颯に、このような挑発が通じるはずがない。


「俺は断然肉派っすよ! 野菜も美味いけど、あんま食った気がしねえもん!」

「僕も……。お肉、大好き……」

「お前らなー……。まあいいや。おい、結城。休憩してきていいぞ。せっかく知り合いが来てくれてるんだから、一緒に文化祭回りたいだろ」

「え、でも……。まだ交替の時間じゃないのに……」

「あんま人も来なくて暇だからなー。休憩がてら、ビラ配りでもしてきてくれや。執事と弓道衣が一緒に歩いてたら、嫌でも目立つだろ」

「……ん、わかった。行ってきます……」


 心と颯は振り返らずに、透花は竹彪に会釈をしてから弓道場を出て行く。


「おーおー、青春だなー」


 仲睦まじい三人の背中を見送りながら、竹彪はぽつりと呟いたのだった。

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