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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
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あなたが見ていてくれるから、いつもより調子がいいみたい。

「俺、弓道場って来たの初めてっす!」

「体育でやったことはないの?」

「まだないっすね! その内やるとは思うんすけど!」


 弓道場に着いた透花と颯は、靴を脱ぐと中に入っていく。

 ここは校舎内とは違い人も少なく、静かな空気に包まれていた。

 透花は、受付にいる女子部員に声をかける。


「すみません。結城心はおりますでしょうか?」

「結城ですか? あいつならこの奥にいますよ」

「ありがとうございます。体験がしたいのですが、彼に指導してもらうことはできますか?」

「はい。こちらへどうぞ」


 女子部員に案内され少し歩くと、弓道衣姿の心が見えてきた。


「結城。お客さんが来てるよ」

「先輩……。ありがとうございます。透花さん、颯くん、いらっしゃい」

「おう! 来たぜ!」

「心くん、弓道衣姿よく似合ってるね」

「……ん、ありがとう」

「後で、颯くんと並んで写真を撮らせてね。留守番しているぱかおに見せてあげたいから」

「わかった……。二人とも、弓道やってみる?」

「うん。ぜひ! 颯くんは?」

「もちろん! って言いたいとこだけど、衣装を汚したらヤベーからやめとくっす……」

「じゃあ、透花さんだけだね……。こっちに来て」


 二人は射場に立った。

 心は透花に弓と矢を渡すと、少し離れた場所で自分もそれを持つ。


「簡単な体験だし、僕の真似してくれれば大丈夫……。見ててね」

「うん。よろしくお願いします」


 心は足を開き、姿勢を整えた。

 そして弓に矢をかけると、それを大きく持ち上げる。

 放たれた矢は、的の中心から少し外れた場所に刺さった。


「おお……!」

「すごい……!!」

「今日は、かなり調子がいいかも……。こんな感じで、透花さんもやってみて……」

「わかった。おかしなところがあったら教えてね」


 見様見真似で、透花も弓を構えてみる。


「足は、もうちょっと開いた方がいいかも……。六十度って先生が言ってた……」

「これくらいかな?」

「うん……。それで、的をしっかり見て……」

「羽根は頬に付けた方がいいのかな?」

「ほんとはそうするけど、怪我したら大変だから付けなくてもいいよ……」

「わかった」


 透花は、凛とした表情で矢を放つ。

 それは、吸い込まれるように的へと向かったのだった――――――――――。

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