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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
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他の女と一緒にすんじゃねえ! 性別なんか超越してんだよ!!

「そういえば、透花さん一人っすか? 他のみんなは?」

「それぞれ、興味のある所を回っているよ。後で集合してからみんなで来るはずだったんだけど、歩いていたら偶然ここを見つけてね。颯くんと心くんいるかなって覗いてみたんだ」

「そうだったんすね! 心は今、部活の方に行ってるんでいないっす!」

「そうみたいだね。フライングしちゃったけど、何か食べていこうかな」

「あざっす! メニューはこちらになります!」

「わあ! 本格的だね。うーん、目移りしちゃう……。執事さんのオススメはありますか?」

「パンケーキっすかね! 運動部の友達が焼いてるんすけど、いかつい男が焼いたとは思えないくらいふわふわでしたよ! 味見したんで間違いないっす!」

「では、それを一つ。あとは、この紅茶をいただこうかな」

「かしこまりました! お嬢様! 少々お待ちください!」


 注文を取り透花の元を離れた颯に、クラスメイトたちが押し寄せる。


「おい! 緒方! あのキレーな人誰だよ!?」

「めっちゃ親しそうじゃん! まさか、彼女……!?」

「ちげーよ! 俺の親代わりの人!」

「親代わりって……。お前、ばあちゃんみたいって言ってたじゃん!」

「どっからどう見ても、綺麗なお姉さんなんですけど!?」

「ばあちゃんみたいなのは、あくまでも雰囲気の話だよ!」

「雰囲気……!? あんな美しい人の、どこがばあちゃん……!?」

「っていうかお前、女なのに何であの人とは普通に話せるんだよ!?」

「は!? 透花さんを他の女と一緒にすんじゃねえよ! 透花さんは性別なんて超越した、透花さんっていう存在だからな!」

「「わりい、全然わかんねえわ……」」


 自信満々に言い放った主張は、クラスメイトたちには受け入れられないようだ。


「あんなに綺麗な人相手なら、荷物も持ってあげたくなるよねー」

「うん。箸より重い物を持たせられないっていうのもわかるもん」

「さっき目が合ったんだけど、微笑んでくれたよ! 同性なのにドキドキしちゃう!」


(それに、綺麗なだけじゃなくて優しいんだよっ……)


 女生徒たちが話しているのを聞きながら、寧々は心の中で呟く。

 あれだけ注目されている透花に話しかければ、嫌でも目立ってしまう。

 静かな学校生活を送りたい寧々としては、それだけは避けたいのだ。


(それにしても緒方くん、あんなに素敵な人と一緒に暮らしてるんだ……。美人だし、スタイルもいいし、優しいし……。私が勝てるところなんて、一つもないよっ……。って私、一体何を考えてるの!? しっ、仕事! 仕事しなきゃ!)


 恩人に会えて高揚した気分が、急速に萎んでいく。

 寧々はまだその気持ちに、名前を付けられないでいた――――――――――。

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