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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
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お帰りなさいませ! お嬢様!

(さっきの人、大丈夫かなっ……)


 模擬店に戻ってからも、寧々は先程助けられた少女のことが気になって仕方なかった。


(すっごく綺麗な人だったな……。思い出すだけでドキドキしちゃうっ……)


 寧々が多少呆けながら接客していると、店に新しい客が入ってきた。


(あっ……!)


 それは、つい先刻会ったばかりの少女だった。


(よかった……。無事だったんだっ……。今度こそ、ちゃんとお礼を言わなきゃ……!)


 だが、寧々よりも先にその少女に近付く者がいた。


「一色さんじゃないですか! こんにちは!」

「有川くん、こんにちは」

「あっ、間違えました! お帰りなさいませ、お嬢様。こちらへどうぞ」

「ふふふ、ありがとう。執事さん」


 少女を席までエスコートしたのは、夏生である。


「す、すげー美人が来たぞ!」

「くっそー! 女はみんな有川ばっかり……!」


「あの人、すごい美人だね」

「有川くんの知り合いってことは、モデルさんとかかな?」


(タイミング、逃しちゃったなぁ……)


 夏生がいては、寧々は女性に近付くことができない。

 そんな寧々の気持ちなど知る由もない夏生は、彼女と楽しげに談笑している。


「少し早く来すぎちゃったかな」

「いえ、すぐに戻ってくると思いますよ。あ、ほら!」

「透花さん! いらっしゃいっす! じゃなかった! お帰りなさいませ! お嬢様!」


 ビラ配りから戻った颯が、溢れんばかりの笑顔を浮かべて女性の元へと向かう。


「颯くん、今日は髪下ろしているんだね」

「すっげー不本意なんすけどね! さすがに燕尾服にヘアバンドはないかなって思って!」

「大人っぽくてかっこいいよ」

「マジすか!? あざす!!」

「たまには下ろしてみたら?」

「透花さんの頼みを断るのは心苦しいっすけど、それはできないっす! もう、デコがスースーして全然集中できないんすよ! だ、大丈夫っすよね……?」

「うん。さっきも言った通り、とてもかっこいいから安心して」


 あの颯が、美女と会話している。

 それも、普段友人にも見せないような眩しい笑顔を浮かべてだ。

 颯の女嫌いを知っているクラスメイトたち、そして今回の文化祭でそれを知った寧々を含む女子生徒たちは、呆然とせざるをえないのだった――――――――――。

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