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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
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誰か、助けてっ……!

「なあなあ、いいだろー?」

「少し付き合ってよ、メガネっ子のメイドさ~ん」

「こ、困りますっ……!」

「困ります! だってよ、か~わいい~!」

「俺、メガネの女の子って大好きなんだよね」

「離してくださいっ……!」


(ど、どうしようっ……!)


 文化祭が始まり、数十分が経過している。

 寧々は、ビラを配りに行った先でガラの悪い連中に捕まっていた。

 服装から察するに、この学校の生徒ではないだろう。

 気の弱そうな少女が一人でいるところを見計らって、声をかけてきたのだ。

 男性が苦手な寧々は、強く反抗することも、掴まれた手を振り払うこともできなかった。


「ほら、さっさっと行こうぜー?」

「なんかうまいもんでも奢ってやるって」

「きゃっ……!」


(誰か、助けてっ……!)


 無理矢理連れて行かれそうになった、その時のことだった。


「お兄さんたち、その辺にしておいたらどうかな」


 柔らかな声が、寧々を連れ去ろうとする男たちを制止する。

 そこには、黒髪の美しい女性が立っていた。


「部外者は引っ込んでろって言いたいとこだけど、あんた美人だな」

「この子の代わりに、お姉さんが付き合ってくれる?」

「私でよければ。だから、この子は解放してもらえるとありがたいのだけれど」

「いいぜ! こんな美人連れて歩けるなんて、俺らも鼻がたけーしな!」

「おら! お前は用済みなんだよ! とっとと行け!」

「あっ……」


 男たちは、黒髪の女性を連れて立ち去ろうとする。


「私のことなら心配しないで大丈夫だからね。あなた、ここの生徒さんでしょう? これ以上変な輩に捕まる前に、早く自分の模擬店に戻った方がいいよ。気を付けて」


 女性は寧々に声をかけると、男たちの後を追った。


(あっ……! 私、お礼も言えてない……!)


 恐怖でうまく声を出せない寧々は、急いで頭を下げる。

 彼女は振り返ると、寧々に美しい笑顔を返したのだった――――――――――。

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