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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
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えへへ! 俺、頑張ってるっす!

「透花さん、触ってもいいすか!?」


 それは、夕飯が終わりリビングで寛いでいる時のことだった。

 颯が、急に爆弾を投下したのだ。

 この発言により、口に含んだ飲み物を吹き出しそうになった隊員が数人いた。


「どうぞ」

「失礼します!」


 透花は、なんのためらいもなく笑顔で了承する。

 すると颯は、透花の手をペタペタと触り始めた。


「うーん、やっぱり平気なんだよなぁ……」

「颯くん、何かあったの?」

「うっす。実は……」


 颯は、この日の文化祭準備中に起こった出来事を話し始めた。

 教室から飛び出した颯が心に発見された頃には、すっかり日が暮れていたのである。

 ほとんどの生徒が帰宅しており、今日の分の準備は既に終わっていた。


「というわけで、わざとじゃないんすけど準備サボっちゃったんす……」

「そうだったんだね」

「はあ……。透花さんには触れるし、ちゃんと話もできんのになぁ……」


 落ち込む颯の頭を、透花は優しく撫でる。


「今日のことは、明日みんなに謝れば大丈夫だよ」

「透花さん……」

「女の子が苦手なのに、ちゃんと準備を頑張っているんだね。偉い、偉い」

「えへへへへ! そうっす! 俺、頑張ってるっす!」

「文化祭当日が楽しみだなぁ」

「当日は、俺もっともーっと頑張りますから! ぜっっったいに遊びに来てくださいね!」


 先程までは暗い顔をしていたのに、透花と話をしただけで太陽のような笑顔を浮かべる。

 それを黙って見ていることができないのが、他の隊員たちだ。


「……透花さん、僕も撫でて。部活もクラスの出し物も頑張ってる」

「よしよし。心くんの弓道着姿を見るの、待ち遠しいなぁ」

「颯くんと心ちゃんばっかずるーい! 透花さん、俺も俺も~!」

(なんだ!? トウカに撫でてもらう会か!? オレも参加するぞ!)

「とうかねえ、みうも!」

「………………………………!!」


 心を筆頭に、頭を撫でて欲しい者たちが透花のもとへと殺到する。

 こうして一色隊の夜は、にぎやかに更けていくのだった――――――――――。

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