これが世に言うガールズトークというやつか……!
「………………………………」
「………………………………」
「ちょっとあんたたち! 少しは会話をする努力をしなさいよ!」
由莉主催のお茶会は、案の定全く盛り上がらなかった。
由莉の問い掛けに答えることはあるものの、二人が会話をすることはない。
「仕方のない子たちねぇ。颯ちゃんの女嫌いは知ってたけど、あんたも男の子が苦手なの?」
「は、はいっ。すみません……」
この藍原寧々という少女もまた、異性に対して耐性がなかったのだ。
だが、颯ほど異常な拒否反応を起こすわけではない。
面と向かって話すのが苦手という程度である。
「……ちょっと颯ちゃん、今とっっっても失礼なこと考えたでしょ!」
「は!? かかかか考えてねーし!」
「その反応が全てを物語ってるのよ! どうせ、ユリちゃんは男なのにどうして平気なんだ、とか考えてたんでしょ!? 私の口から、自分が男とか言わせないでくれる!?」
「うっ……! なんでわかったんだ……!?」
「私は心が立派なレディですもの! だから平気なのよねー、寧々ちゃん」
「はい。ユリさんは話しやすいですっ」
「まあまあ、嬉しいこと言ってくれるじゃない。今度お店に来た時はサービスしちゃう!」
寧々の一言によって、由莉の機嫌がよくなる。
颯は、再び首を絞められることなく済んだのだった。
「そういえば寧々ちゃん、あんたも洋服が好きなの?」
「えっ……?」
「衣装を見た時、目が輝いてたから。縫い目とかも細かく見てたみたいだし」
「あ、はいっ。私の場合、自分で着るんじゃなくて人形に着せる物なんですが……」
「あら。自分で作ってるの?」
「はい。自分で好きな色や形にできるのが好きなんですっ。作ってる間は、完成した服を人形が着る姿を想像してワクワクして……!」
洋服の話を始めた途端、寧々の瞳が再び輝き出した。
この少女、普段はそれなりによく話すのである。
「それで衣装係になったってわけね。でも、それなら手作りしたかったんじゃないの?」
「いえっ。人間が着る服は作ったことないですし……。それに、あんなに丁寧に作られてる服は見るだけで勉強になりますから!」
「そう? ならいいのよ」
この後も寧々と由莉は、服に関する話題で盛り上がっていた。
(これが世に言うガールズトークというやつか……! いや、ユリちゃんは男だよな……。と、とにかく入れねぇ……! いや、入るつもりもねーんだけど!)
颯はこのお茶会が終わるのを、ただひたすらに待つことしかできないのだった――――――――――。