表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
416/780

女子とメールする時のコツを教えてください!

『こんばんは。藍原寧々といいます。文化祭まで、よろしくお願いします』


 その夜、衣装係の女生徒からメールが送られてきた。

 彼女の名前は、藍原寧々というらしい。

 女子高校生らしからぬ、真面目で硬い文章だ。


『こんばんは。俺は、緒方颯です。こちらこそ、よろしくお願いします』


 颯は、悩んだ末にこのような内容を送り返した。

 いつもの彼とは違い、エクスクラメーションマークなども使わない。

 こちらも負けず劣らず、真面目で硬い文章である。


「……えー!? 颯くんが女の子とメールしてる!?」


 難しい顔で携帯電話とにらめっこしていたので、人の気配に全く気付かなかった。

 言い忘れていたが、ここは颯の自室ではなくリビングである。

 後ろから颯の手元を覗き込んでいるのは虹太だ。

 虹太は一瞬驚いた表情をしたものの、すぐにいつもの緩い笑みを浮かべる。


「いや~、いいね! 青春だね☆ 颯くんにも遂に、彼女ができたなんて!」

「か、彼女……!?」

「ハルくんに頼んで、明日はお赤飯にしてもらう?」

「晴久さんの赤飯はうまいっすけど! そういうんじゃないっすから!」

「え~、違うの? 女嫌いの颯くんがメールしてるんだから、絶対彼女だと思ったのに!」

「違いますよ! これは、文化祭の話し合いをするために仕方なくやってることなんす!」

「そうだったんだ~。……確かにこれは、彼女に送るようなメールじゃないね」


 敬語で自己紹介をしているメールを見て、誤解は解けたようだ。

 颯は、今日の出来事を虹太に話した。


「……というわけで、このメールが俺の命綱なんす!」

「なるほど~。それにしても、文章硬くない?」

「女子とメールするのなんて初めてだから、どうすればいいかわかんないっすよ……!」

「初めてって、透花さんがいるじゃーん」

「透花さんは性別なんて超えた、透花さんってジャンルの人間なんで!」

「ほんと、颯くんって不思議だよね~」

「女子とメールする時のアドバイスとかないっすか!?」

「う~ん、颯くんの場合女の子って意識するとダメだろうから、相手を男友達だと思えば?」

「男友達……。無理っすよ! だって、今日会ったけど女子でしたもん!」

「そうだよねぇ。寧々ちゃんなんてかわいい名前の子、男に思えないか~」

「あああ、もうどうすればいいのかわっかんねえー!!!」

「颯くん、落ち着いて。メールの文章くらいなら、一緒に考えてあげるよ~」

「マジっすか!? あざまっす! めちゃくちゃ助かります……!!」

「どういたしまして~☆ 文化祭、楽しみにしてるからね♪」

「うっす!!」


 こうして颯は、虹太の協力を得てメール作成に励んだ。

 そして二日後の放課後に、一緒に由莉の店を訪ねる約束を取り付けたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ