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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
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次も頑張るから、めちゃくちゃ褒めてくれよ……!

「………………………………」

「………………………………」


 他の班の話し合いが終わり解散の時間になっても、颯と女生徒の間に会話はなかった。

 颯は明後日の方向を見ているし、女生徒はただ俯くばかりだ。

 それを見かねた心と夏生が、こちらにやってくる。

 今度は、他のクラスメイトたちからの妨害もなかったようだ。


「二人とも、お疲れ様。話し合いは進んだ?」

「……逆に聞くけど、進んだと思うか?」

「……ごめん。えっと、藍原さんで合ってるかな?」


 夏生からの問い掛けに、女生徒はこくりと頷く。


「今日はもう解散みたいだよ。話し合いが進んでないなら、連絡先を交換したらどうかな?」


 夏生の提案に、颯はあからさまに嫌そうな顔をする。


「緒方くん、そんな顔しないでよ。二人とも面と向かって話すのは苦手みたいだから、文字ならどうかなって思ったんだ。それなら、話もしやすくない?」

「……そうだな。このまま衣装が用意できなかったら、みんなにも迷惑かかるし……」

「……わ、わかりましたっ。私も、そちらの方が話しやすいので……」


 颯はこの時、女生徒の声を初めて聞いた。

 それはか細く、今にも消えてしまいそうなほどに小さかった。

 二人は夏生の助けを借りて、なんとか連絡先を交換する。

 自分の電話帳に、透花以外の女性の名前があるということが不思議で仕方ない。


「……颯くん、頑張ったね」

「今からこんなんじゃ先が思いやられるけど、俺、頑張ったよな……!? 心、もっと褒めてくれ……!! 褒めてもらえたら、次も頑張れそうな気がするぜ……!」

「……よしよし。よくできました」


 この日は、このような会話を交わしながら教室へと戻った。

 文化祭開催当日までの約二週間を、颯は無事に乗り切れるのだろうか。

 それは、神のみが知ることなのである――――――――――。

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