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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十六話 謳歌しようじゃないか!プリムラ・ポリアンサな日々を!
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嘘だって言ってください、マジで

「朝も話した通り、午後は分文化祭についての話し合いだ。女子と合同でやるから、中央棟の視聴覚室まで移動な、お前ら、嬉しいからってあんまりはしゃぐなよ」

「……え、ええええええええええええええええええええ!?」

「緒方、うるさいぞー」


 この日、颯の平穏な学園生活に初めての危機が訪れた。

 颯と心の通う高校は、男女別学校である。

 その名の通り校舎で男女が分かれているので、異性と顔を合わせることはまずない。

 食堂は男女共用だが、毎日弁当を持参している颯には関係のない話だった。

 同じく合同で行われる部活動、委員会にも颯は参加していない。

 教師もほぼ全員が男性で、五十代の養護教諭が唯一の女性である。

 つまり、この学校内で女性と接する機会はほぼ皆無だったのだ。

 それ故に、女性が苦手な颯は快適な学園生活を送っていた。

 学期の区切りごとに合同の集会はあるが、数十分のことなのでなんとか我慢できていた。


「ちょっ!? えっ!? 合同!? なんで!?」

「朝も説明しただろー。文化祭は一年一組とA組、二組とB組みたいにペアでやるんだよ。うちは一年B組だから、二組とだな」

「先生!? それマジっすか!? 朝も説明した!? ほんとに!?」

「ああ、したした。お前、俺の話聞いてなかっただろ」

「……おおおおお俺! 腹が痛いんで保健室行ってくる!」


 そう言って立ち上がった颯に、担任である男教師、片桐竹彪は追い打ちをかける。


「今日は保健室のおばちゃんが休みだから、行くなら女子部の方に行けよー」

「え……!? おばちゃん、休み……!?」

「おお。女子部の養護教諭は、二十代の若いお姉さんだぞ」

「ワカ、イ、オネエサン……」


 颯は脱力してしまい、そのまま椅子に倒れ込む。

 そして、魂が抜けたように動かなくなってしまった。


「うっし、みんな移動するぞー。結城、有川、緒方のこと頼むな」

「……はい」

「はーい!」


 竹彪は心と夏生に颯のことを任せると、教室を出て行く。

 他の生徒たちも、それに続いて歩き出した。

 颯は二人に引きずられるような形で、視聴覚室へと向かうことになったのだった。

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