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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十五話 オーランピドールの雫を飲み干して
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すごいおいしゃさん

 持ち帰った薬を、理玖は大和と美海に飲ませた。

 熱が下がり、顔色はみるみるよくなっていく。

 一時間もすれば、会話ができる状態まで回復していた。


「りくにいは、やっぱりすごいおいしゃさんなんだね……」

「………………………………」


 美海からの賛辞の言葉、そして大和からの無言の感謝を受け取ると部屋に戻る。

 洞窟で生成した分だけでは、他の患者まで行き渡らせることはできない。

 手持ちの薬を元にして、全員に配れる量を確保しなければならないのだ。

 そこからの理玖の集中力は、凄まじいものだった。

 晴久が飲み物を持って行っても、反応すらしない。

 無視をしているのではなく、音が耳に入っていないのだ。

 その作業は一昼夜続き、翌日の昼には全ての薬が完成していた。


「……これで、足りると思うけど」


 出来上がった薬を、透花に渡しに行く。


「……飲みやすいように、カプセルに入れてある。飲めばすぐに効果が出て体調はよくなるけど、しばらくは安静にするように伝えて。僕は寝るけど、量が足りないとか、薬が効かないとか、何かあったら起こしてくれていいから。じゃあ」


 透花の返事も聞かずに、理玖は自室へ向かう。

 集中している時は気付かなかった猛烈な眠気が、彼を襲っているのだ。

 寝不足でふらつく体で部屋に戻ると、ベッドへと倒れ込む。


(疲れた……)


 理玖はいつも、あまり眠りが深い方ではない。

 だがこの日は珍しく、泥のように眠ったのだった――――――――――。

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