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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十五話 オーランピドールの雫を飲み干して
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氷中から聞こえる声

 その頃、透花と理玖は洞窟の最奥部へと辿り着いていた。

 氷中で美しく咲き誇る花は、まるで彼らを歓迎しているかのようだ。


「わあ、綺麗……」

「……見惚れてる場合じゃないよ。早速作業に入る」


 理玖は、荷物からライターを取り出した。

 それで氷を熱し、溶けた雫を採取しようとしたのだが――――――――――。


「……全然溶けないね」

「……少し手荒になるけど、仕方ないね」


 火で温めることを諦めた理玖は、今度はアイスピックを手にする。

 そして、勢いよく氷に突き立てた。


「っ……!!」

「理玖、大丈夫!?」


 だが、やはり氷は砕けない。

 全ての衝撃が、理玖の右手へと戻ってきてしまった。


「……普通の氷じゃないね」

「……ああ。特殊な方法でしか、採取できないのかもしれない」

(そうじゃぞ。そのような野蛮な方法では、妾の氷は溶けはせぬ)


 二人の耳に、知らない少女の声が響く。

 急いで周囲を確認するが、誰もいなかった。


「理玖も今の、聞こえたよね……?」

「……ああ。一体どこから……」

(そちらの正面におるじゃろう。それが妾じゃ)


 透花と理玖の目の前には、オーランピドールとそれを覆う氷があるだけだ。

 声を発するような生物がいるとは到底思えない。

 だがその声は、確実に二人の耳へと届いたのだった――――――――――。

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