表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十五話 オーランピドールの雫を飲み干して
397/780

震えよ、止まれ

(まさか、薬が効く時間がこれほど短いとは……)


 柊平は、剣を持ち直すとその雪男に近付いていく。

 凶暴化の原因を究明するために、出来る限り傷付けずに先に進みたかった。

 だが、こうなってしまえばそうも言ってはいられないだろう。


(……追ってこられないように、足を斬るしかないか)


 雪男と向かい合った柊平は、攻撃を仕掛けようとした。

 すると、なんと彼はそのまま尻餅をつき、洞窟の壁際まで逃げてしまったのだ。

 そのまま頭を抱え、これから来るであろう痛みに備えている。

 大きな体が、一目見ただけで分かるほどに震えていた。


(突然どうしたんだ……? 先程までとまるで様子が違う……)


 柊平が一歩近付けば、雪男も一歩逃げる。

 その間にも、震えはどんどん大きくなっていく。

 とうとう立てないほどに足が震えてしまい、逃げることすらできなくなってしまった。


(私の剣に怯えている……? 危害を加えそうには見えない、か……)


 柊平は剣を鞘に納めた。

 彼が襲い掛かってくることも、他の雪男たちが目を覚ます気配もないからだ。

 直前まで戦っていた相手だったが、痛ましいほどの震えをどうにか止めてやりたかった。

 柊平が剣を仕舞ったのを見ると、雪男の震えは小さくなる。

 そしてそのまま、地面に頭を擦り、許しを請うような姿勢をとったのだった――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ