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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十五話 オーランピドールの雫を飲み干して
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雪の中のまれびと

 透花たち三人は、極寒の地グラソンへと足を踏み入れていた。

 出来る限りの防寒対策をし、目的地である洞窟へと向かっている。

 吹雪いているため、彼らの他に家の外に出ている者は誰一人としていない。

 足跡すら、すぐに降り積もる雪によって掻き消されてしまっていた。


「……さすがに寒いね」

「……隊長、よろしければこちらの手袋をお使いください。私なら平気ですので」

「ううん、大丈夫だよ。柊平さんには、ちゃんと手を温めておいてもらわないと困るし」

「……どういうことでしょうか」

「剣を抜いてもらうことになるかもしれないってことだよ」


 透花は、いつもは白い頬を寒さで赤く染めながら話す。

 それに答える理玖も、いつもより顔色がいいように見える。


「ここに来るまで、特に妨害らしい妨害がなかったからね」

「……デザントクスィカフィーヌの件は、一応妨害って言ってもいいんじゃないの」

「そうだね。でも、生えていた場所が少し変わっていただけで結局は手に入ったからさ。私が敵だったら、より環境も厳しいこっちで何か仕掛けるかなって思うんだ」

「……そうですね」

「そのためにも、柊平さんにはいつでも動ける状態でいてもらわないと。何かあったらもちろん私も戦うけれど、この足場には柊平さんの方が慣れているだろうからね」

「……ご期待に添えるよう、全力を尽くします」

「うん、頼りにしています。まあ、妨害が入ると決まったわけじゃないんだけどね」


 三人は、洞窟を目指して突き進む。

 幸いなことに、雪崩などに巻き込まれることも、誰かを欠くこともなかった。


「どれくらい進んだかな?」

「……まだ、半分ほどはあると思います」

「まだ、半分……」

「理玖、大丈夫? 少し休憩しようか?」

「……いや、いい。こんな所で休憩しても、逆に体力を奪われるだけだ」


 目的地の洞窟まで、あと半分という所まで辿り着いた。

 だが、理玖だけではなく透花と柊平にも疲労の色が滲み出ている。

 どこかで休憩を取るべきだと、誰もが思った時のことだった。


「あんたら! こんな所まで、どうやって来たんだ!?」


 一人の男が、突然雪の中から現れたのだ――――――――――。

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