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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十四話 羽衣草を持っていくよ
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相反する同齢コンビ

「おい! 大和はどうなんだ!? 風邪か!?」

「美海は……? 大丈夫かな……」

「……これから話すから、とりあえず座って」


 リビングに着くと、早速蒼一朗と心に問い詰められた。

 そんな二人を制すると、理玖はソファに座る。


「……今は、熱冷ましの薬を飲んで眠ってるよ。これで朝までに熱が下がればいいけど、下がらなかった場合、厄介なことになるかもしれない」

「どういうことだ……!?」

「風邪じゃ、ないの……?」

「……正直、僕にもよくわからない」


 理玖は、自分が感じた違和感について話し始めた。

 ほぼ同時に発症し、意識を失ったという点がどうしても気になるのだ。


「……とりあえず、明日の朝までは様子見だよ。君たちにもうつるといけないから、今日は別の部屋で寝て欲しい。診療所のベッドを使ってもらっても構わない」


 いつもは、蒼一朗は大和と、心は美海と同じ部屋で寝ているのだ。

 だが今のこの状態では、同じ部屋で寝ることは避けた方がいいだろう。


「……俺は、このソファでいい。診療所だと、すぐに大和のところに行けねーし」

「僕も……」

「蒼一朗さんはともかく、心くんはちゃんとベッドで寝た方がいいよ。明日も学校だよね」

「でも……」

「じゃあ心、俺の部屋に来いよ!」


 淀んだ空気を払うかのように明るく言ったのは、颯だ。

 彼の部屋は、心の部屋の隣に位置していた。


「俺の部屋なら、すぐに美海ちゃんのところに行けるぜ! 布団持ってこいよ!」

「……ん、わかった。ありがとう……」

「困った時はお互い様ってやつだ! 蒼一朗さんも柊平さんの部屋で寝たらどうっすか?」


 蒼一朗の部屋は、柊平の部屋の隣だ。

 颯は善意からこの言葉を発したのだが、二人は神妙な面持ちである。


「……いや、俺はソファでいいわ」

「……ああ、私からもそれで頼む」


 お互いに認め合っているものの、同じ部屋で一晩を過ごせるほど仲良くはない。

 この二人、未だに微妙な距離感なのだ。

 それに柊平は、自分のテリトリーに他人を入れたくないというのもある。


「……とにかく、話は明日の朝だ」

「わかった。理玖、ありがとう。みんな、これ以上病人が増えないためにも、今日は早めに寝るように。特に湊人くん、よろしくね」

「……はいはい」


 夜更かしの癖がある湊人に、透花が柔らかく釘を刺す。

 これで解散となり、皆は各自の部屋に戻っていく。

 この日の一色邸は、いつもよりも早く消灯時間が訪れたのだった――――――――――。

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