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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十三話 カンナを秘めた訪問者
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増えていく嬉しい約束

 大和と湊人は、将棋盤を挟んで向かい合っている。

 一太と柊平が部屋に入ってきたことに気付いたのは、湊人だけだった。

 湊人の会釈に、一太も軽く頭を下げ返す。

 次の手を真剣に考えている大和は、二人がやって来たことに全く気付いていない。

 その思考を邪魔しないように、一太は小声で柊平に話しかけた。


「大和くんは、将棋をよく指すんですか?」

「はい。ここ最近は、毎日誰かしらと指しています。外で遊ぶのも好きですが、性格的にこちらの方が落ち着くようです。彼と指している男が、将棋の師匠です」

「そうなんですね! 大和くんは強いんですか?」

「……そうですね。彼と同時期にルールを覚えた者が数名おりますが、彼らに負けることはほぼありません。あのくらいの年齢の子どもとしては、強いのではないでしょうか」

「それは立派だ! 私なんて、お恥ずかしいことにルールもよく知りません……」


 ここで、大和が頭を下げる。

 どうやら、勝敗が決したようだ。


「大和くん、先生が来てるよ」


 湊人が大和に一太の存在を伝えると、彼はこちらに歩いてきた。


「大和くん、ホットケーキ美味かったぞ! ありがとうな!」

「………………………………♪」


 大和は一太の服を引くと、将棋盤の方へと誘導しようとする。


「ん? もしかして、一緒にやろうってことか?」


 一太の問い掛けに、大和はこくりと頷いた。


「大和くん、申し訳ない! 先生、将棋のルールを知らないんだ!」

「………………………………」

「勉強しておくから、ルールを覚えたら対戦しよう! 約束だ!」


 そう言うと一太は、小指を立てる。

 大和も控えめに自分の小指を絡ませると、二人は指切りをした。

 約束をすると、大和は湊人の方へと戻っていく。

 どうやら、もう一局指すようだ。


「……それでは、私たちも戻りましょう」

「はい! ありがとうございました!!」


 一太が、柊平と一緒にリビングを出た瞬間――――――――――。


「ただいまーっす!!」

「……ただいま」


 一色邸の玄関の扉が、元気よく開かれたのだった。

読んでくださっているみなさんのおかげで、無事に一周年を迎えることができました!

これからも、よろしくお願いいたします!!

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