おかえり、僕の親友
心が、そのつぶらな瞳を見間違えるはずがない。
それは、彼の見知ったもので――――――――――。
「……ぱかお!?」
急いで窓に駆け寄ると、鍵を開ける。
そこから入ってきたのは、紛れもなくぱかおだった。
(シン! ただいま!)
「……僕、夢でも見てるのかな」
目の前の状況を受け入れられない心は、自分の頬を抓る。
「……痛い。夢じゃ、ないの……?」
(夢じゃないぞ! オレ、修業を終えて帰ってきたんだ! 巨大化も完璧だ!)
「どうして……。修業には、才能があっても一年はかかるって……」
(オレは、歴代の天才たちの上を行く大天才だったんだ! えっへん!)
「すごい……。ぱかお、すごいね……!」
(そうだろ!? もちろん、早くシンに会いたくて頑張ったんだぞ!)
「……ありがとう。一週間でも、僕すごく寂しかった……」
(そうみたいだな! オレに似たぬいぐるみを抱き締めてるくらいだもんな!)
「虹太さんがくれたんだ……。この子もかわいいけど、本物のぱかおには敵わないよ……。ぱかお、抱き締めさせて……?」
(もちろんだ! 久しぶりに撫でてくれー!)
勢いよく飛び込んできたぱかおを、心は優しく受け止める。
そして、しっかりと抱きしめながらその体を撫でた。
(ん~! やっぱりシンに撫でてもらうのは気持ちいいな!)
「ぱかお、体に傷があるね……。修業、頑張ったんだ……。お疲れ様……」
(こんなの掠り傷だ! 舐めておけば治るぞ! それよりもシン、俺が噛んだ傷は……?)
「……もう治ったよ。言ったでしょ……? 僕、強いから平気だって……」
心の傷は、この一週間の間に完治していた。
相変わらず、驚異的な回復力である。
(よかった……。シン、オレもお前に会えなくて寂しかった……)
「……うん」
(これからは、もうどっか行ったりしない。ずっと一緒にいるからな! シン、ただいま!)
「……おかえり、ぱかお。うん、ずっと仲良しでいようね」
(……! シン、すごい! 今のお前、めちゃくちゃ笑顔だぞ!)
「……僕だって、笑うことくらいあるよ。だって今、とても嬉しいんだ……」
心は、見たこともないような満面の笑みを浮かべる。
ぱかおは心の笑顔を独占しながら、腕の温もりに身を委ねた。
こうしてぱかおの一色邸での生活は、新たな始まりを迎えたのだった――――――――――。