表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十二話 ディモルフォセカな君が好き
360/780

おかえり、僕の親友

 心が、そのつぶらな瞳を見間違えるはずがない。

 それは、彼の見知ったもので――――――――――。


「……ぱかお!?」


 急いで窓に駆け寄ると、鍵を開ける。

 そこから入ってきたのは、紛れもなくぱかおだった。


(シン! ただいま!)

「……僕、夢でも見てるのかな」


 目の前の状況を受け入れられない心は、自分の頬を抓る。


「……痛い。夢じゃ、ないの……?」

(夢じゃないぞ! オレ、修業を終えて帰ってきたんだ! 巨大化も完璧だ!)

「どうして……。修業には、才能があっても一年はかかるって……」

(オレは、歴代の天才たちの上を行く大天才だったんだ! えっへん!)

「すごい……。ぱかお、すごいね……!」

(そうだろ!? もちろん、早くシンに会いたくて頑張ったんだぞ!)

「……ありがとう。一週間でも、僕すごく寂しかった……」

(そうみたいだな! オレに似たぬいぐるみを抱き締めてるくらいだもんな!)

「虹太さんがくれたんだ……。この子もかわいいけど、本物のぱかおには敵わないよ……。ぱかお、抱き締めさせて……?」

(もちろんだ! 久しぶりに撫でてくれー!)


 勢いよく飛び込んできたぱかおを、心は優しく受け止める。

 そして、しっかりと抱きしめながらその体を撫でた。


(ん~! やっぱりシンに撫でてもらうのは気持ちいいな!)

「ぱかお、体に傷があるね……。修業、頑張ったんだ……。お疲れ様……」

(こんなの掠り傷だ! 舐めておけば治るぞ! それよりもシン、俺が噛んだ傷は……?)

「……もう治ったよ。言ったでしょ……? 僕、強いから平気だって……」


 心の傷は、この一週間の間に完治していた。

 相変わらず、驚異的な回復力である。


(よかった……。シン、オレもお前に会えなくて寂しかった……)

「……うん」

(これからは、もうどっか行ったりしない。ずっと一緒にいるからな! シン、ただいま!)

「……おかえり、ぱかお。うん、ずっと仲良しでいようね」

(……! シン、すごい! 今のお前、めちゃくちゃ笑顔だぞ!)

「……僕だって、笑うことくらいあるよ。だって今、とても嬉しいんだ……」


 心は、見たこともないような満面の笑みを浮かべる。

 ぱかおは心の笑顔を独占しながら、腕の温もりに身を委ねた。

 こうしてぱかおの一色邸での生活は、新たな始まりを迎えたのだった――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ