僕のエゴなのかもしれない
両親の声を聞き、ぱかおは目を覚ました。
相変わらず、目は虚ろなままだ。
慣れた手付きで窓の鍵を開けると、そのまま庭に飛び出していく。
「ぱかお……! 待って……!」
心も、急いで部屋を出て玄関に向かう。
この間のように、階段を転げ落ちるような真似はしなかった。
庭に出ると、心の視界には仲睦まじいアルパカの家族が飛び込んでくる。
三匹は寄り添い、慈しみ合うようにお互いの体を舐めていた。
それを見た心は、分からなくなってしまう。
(ぱかお、嬉しそう……。お父さんとお母さんと一緒の方が、ぱかおは幸せなのかな……。ぱかおにここにいてほしいって思うのは、僕のわがままなのかな……?)
三匹の姿を呆然と眺めていると、それに父親と母親が気付いた。
(おい、あの方は……)
(……まあ。いくら呼び掛けても息子が戻ってこないはずですね)
二匹はぱかおから離れると、こちらへゆっくりと歩いてくる。
(まさか息子が、あなた様のような方と一緒にいるとは……)
(今まで息子を預かっていただき、ありがとうございました)
そして、心の前で止まると恭しく頭を垂れたのだった――――――――――。