表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十二話 ディモルフォセカな君が好き
351/780

大切なことは変わらないんだ

 心たちは、発信機の情報を追いながら一色邸へと戻る。

 その赤い点は、一直線に屋敷へと向かっていた。


「それにしても、ぱかおがあんなに大きくなれるなんてびっくりしたよね~」

「すげービビったっす! あんなにデカい動物見たら、湊人さん腰抜かしちゃいますよ!」

「大きくなってこんなに遠くまで走ってたんですから、お腹が空くのも当たり前ですよね」

「首輪がきつそうでかわいそうだったなぁ。でも、外すわけにもいかないし……」


 帰りの車内も、行きと変わらず和やかな雰囲気だった。

 大きくなったぱかおと対峙した時は、言葉を失っていたにも関わらずだ。


「……みんな、あれがぱかおだって信じてくれるんだね」


 心が、ぽつりと呟く。

 それに対してなんでもないことのように言い放ったのは、颯だった。


「当たり前じゃん! お前がぱかおを見間違うなんてあるわけないし!」

「そうだよ☆ 見た瞬間は、え!? マジでこれがぱかお!? って思ったけどね~」

「僕もとても驚きました。明日からは、もっと美味しいご飯を用意してあげないとですね」


 虹太も晴久も、姿が変わってしまったぱかおのことをもう受け入れているようだ。

 その様子をぽかんと眺めている心に、透花は優しい声で語りかける。


「ぱかおが大切な仲間だということは、見た目が違っても変わらないよ。これからどうするかは、明日起きてからみんなで考えよう。だから、帰ったらまずはゆっくり休もうね」

「……ん。ありがとう……」


 ぱかおの様子を心配しているのは、心だけではないのだ。

 それぞれがぱかおのことを大切に想い、気にかけている。

 そんな単純なことを指摘されるまで気付かないほど、心は追い詰められていたのだろう。

 屋敷に戻った心は、この日もぱかおを抱いて眠った。

 その寝顔は、久方ぶりに安らかなものだったという――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ