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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十二話 ディモルフォセカな君が好き
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見知らぬ後ろ姿、届かない声

「え!? こいつがぱかおなのか!?」

「ぱかおにしては大きすぎない!?」

「た、確かに銀色の毛はぱかおくんと同じですが……」

「……心くんの言う通り、この子はぱかおだね。だって……」

「透花さんがくれて、僕が付けた首輪をしてる……」


 その大きな動物は、透花が心に渡した首輪を付けていた。

 そこから発信される位置情報を元にここで待っていたのだ。

 目の前の動物がぱかおであることに、間違いはないのだろう。


(この子はぱかおだよ……。もし首輪がなかったとしても、僕にはわかる……。だって、毎日あんなに一緒にいたんだもん……。見た目が違っても、わかるよ……)


 物に頼らずとも、心には確信があった。

 自分の中の第六感が、彼はぱかおだと告げているのだ。

 心は光を灯さないぱかおの瞳を見ながら、その大きな体に怖気づく様子もなく近付く。

 ぱかおも、じっと心の眼を見ていた。


「ぱかお、こんなに大きくなれるんだね……。僕、全然知らなかった……」


 そして、長い足に優しく触れた瞬間――――――――――。

 ぱかおは体の向きを変えると、来た道を猛スピードで引き返していった。

 振り払われた心は、尻餅をついてしまう。


「ぱかお、待って……!」


 必死に叫ぶも、心の声は届かない。

 去っていく後ろ姿を、ただ見つめることしかできなかった――――――――――。

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