見知らぬ後ろ姿、届かない声
「え!? こいつがぱかおなのか!?」
「ぱかおにしては大きすぎない!?」
「た、確かに銀色の毛はぱかおくんと同じですが……」
「……心くんの言う通り、この子はぱかおだね。だって……」
「透花さんがくれて、僕が付けた首輪をしてる……」
その大きな動物は、透花が心に渡した首輪を付けていた。
そこから発信される位置情報を元にここで待っていたのだ。
目の前の動物がぱかおであることに、間違いはないのだろう。
(この子はぱかおだよ……。もし首輪がなかったとしても、僕にはわかる……。だって、毎日あんなに一緒にいたんだもん……。見た目が違っても、わかるよ……)
物に頼らずとも、心には確信があった。
自分の中の第六感が、彼はぱかおだと告げているのだ。
心は光を灯さないぱかおの瞳を見ながら、その大きな体に怖気づく様子もなく近付く。
ぱかおも、じっと心の眼を見ていた。
「ぱかお、こんなに大きくなれるんだね……。僕、全然知らなかった……」
そして、長い足に優しく触れた瞬間――――――――――。
ぱかおは体の向きを変えると、来た道を猛スピードで引き返していった。
振り払われた心は、尻餅をついてしまう。
「ぱかお、待って……!」
必死に叫ぶも、心の声は届かない。
去っていく後ろ姿を、ただ見つめることしかできなかった――――――――――。