表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十二話 ディモルフォセカな君が好き
349/780

あまりにも高やかな

 目的地に先回りできた透花たちは、車内でぱかおが現れるのを待っている。

 車の中は、なんとも和やかな雰囲気だった。


「あー! 腹減ったっす!」

「さっきからなんかぐーぐー鳴ってると思ったら、颯くんのお腹か~!」

「夕飯食べてから、時間経ってるもんね……」

「あっ、夜食として作ってきたおにぎりがありますよ。よかったらどうぞ」


 同乗者が柊平と蒼一朗だと、こうはいかない。

 このメンバーならではの空気感だろう。


「いいんすか!? あざっす!」

「ハルくん、私にも一つ貰えるかな。梅干しが入っているものはある?」

「確かこれが梅干し入りだったはずです。どうぞ、透花さん。心くんも食べませんか?」

「……ん、食べる」

「俺も食べたいけど、一個は食べ切れないかも~」

「じゃあ虹太くんは、僕と半分こしますか?」

「わー☆ ありがと、ハルくん! 半分こしよしよ~♪」

「心! お前のやつ中身なんだった!? 俺はシャケ!」

「昆布……」

「はあ、梅干し本当に美味しい……」


 楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

 夜食を食べ終え皆が少しうとうとしてきたところで、カーナビゲーションシステム上の赤い点が突如光り出した。

 ぱかおが、こちらに近付いてきているのだ。

 車から出て到着を待っていると、それは心たちの目の前で足を止めた。

 体はキリンほどに大きく、足もいつも知っているぱかおからは想像できないほどに長い。

 だが、その体には銀色の毛を纏っていて――――――――――。


「ぱかお……」


 唯一、心だけが言葉を発した。

 その声が聞こえているのかはわからないが、彼は光の灯っていない目で心たちを見下ろしたのだった――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ