あまりにも高やかな
目的地に先回りできた透花たちは、車内でぱかおが現れるのを待っている。
車の中は、なんとも和やかな雰囲気だった。
「あー! 腹減ったっす!」
「さっきからなんかぐーぐー鳴ってると思ったら、颯くんのお腹か~!」
「夕飯食べてから、時間経ってるもんね……」
「あっ、夜食として作ってきたおにぎりがありますよ。よかったらどうぞ」
同乗者が柊平と蒼一朗だと、こうはいかない。
このメンバーならではの空気感だろう。
「いいんすか!? あざっす!」
「ハルくん、私にも一つ貰えるかな。梅干しが入っているものはある?」
「確かこれが梅干し入りだったはずです。どうぞ、透花さん。心くんも食べませんか?」
「……ん、食べる」
「俺も食べたいけど、一個は食べ切れないかも~」
「じゃあ虹太くんは、僕と半分こしますか?」
「わー☆ ありがと、ハルくん! 半分こしよしよ~♪」
「心! お前のやつ中身なんだった!? 俺はシャケ!」
「昆布……」
「はあ、梅干し本当に美味しい……」
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
夜食を食べ終え皆が少しうとうとしてきたところで、カーナビゲーションシステム上の赤い点が突如光り出した。
ぱかおが、こちらに近付いてきているのだ。
車から出て到着を待っていると、それは心たちの目の前で足を止めた。
体はキリンほどに大きく、足もいつも知っているぱかおからは想像できないほどに長い。
だが、その体には銀色の毛を纏っていて――――――――――。
「ぱかお……」
唯一、心だけが言葉を発した。
その声が聞こえているのかはわからないが、彼は光の灯っていない目で心たちを見下ろしたのだった――――――――――。