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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十二話 ディモルフォセカな君が好き
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足よりも痛むのは

 心が一色邸を出てから、どれくらいの時間が経っただろうか。

 必死に走り回ってはみたものの、ぱかおを見つけることはできなかった。


(ぱかお、なんで……? どこ行っちゃったの……?)


 心の脳裏を、昼間に聞いた噂話が過ぎる。


(銀色の化け物が、ぱかおのことだったらどうしよう……。僕が見つける前に、誰かに見つかっちゃったら……? もしこのまま、帰ってこなかったら……!?)


 混乱している心の肩に、ふわりと何かが掛けられた。


「心くん、見つけた」

「あ……」

「まだまだ暑いけれど、少しずつ涼しくなってきているからね。さすがに、夜はパジャマだけじゃ風邪をひいちゃうよ。私の上着だけど、よかったら着ていて」

「透花、さん……」


 透花はどうやら、心を追いかけて来たようだ。

 後ろには柊平が運転する車が見えるので、これに乗って来たのだろう。

 透花の顔を見ていると、心の混乱は徐々に治まっていった。


「帰ろう、心くん。足の手当てもしないと」

「足……?」

「うん。裸足で走ったから傷だらけだよ。理玖に診てもらおうね」

「ほんとだ……」


 ここで初めて、心は靴を履いていないことに気付いた。

 それほど、一生懸命ぱかおを探していたのだ。


「でもまだ、ぱかおが……」

「屋敷に残ってる蒼一朗さんから連絡が来たんだけど、ちゃんと戻ってきたから安心して」

「ほんと……?」

「うん。帰ってきたらすぐに寝ちゃったみたいだけど、怪我とかもしていないって」

「そっか……。よかった……」

「だから帰ろう。ぱかおが起きたら話を聞こうね」

「わかった……」


 透花に優しく促されながら、心は車に乗り込む。

 そして、一色邸へと戻っていくのだった――――――――――。

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