表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十二話 ディモルフォセカな君が好き
343/780

真夜中の鬼ごっこ

(ん……? なんの音……?)


 心は、何かを揺らす音によって目覚めた。

 抱いて寝たはずのぱかおが、いつの間にか自分の腕の中からいなくなっている。

 目を擦りながらなんとか起き上がると、再び心の耳に音が届いた。

 ――――――――――カタン。


「ぱかお……?」


 その音は、窓際にいるぱかおによって引き起こされたものだった。

 鍵に向かって、短い腕を必死に伸ばしている。

 まさか、鍵を開けようとしているのだろうか。


「ぱかお、どうしたの……?」


 心の声が聞こえていないのか、ぱかおは振り返らなかった。


「あっ、ぱかお……! 待って……! どこ行くの……!」


 ぱかおは鍵を開けると、窓の外に飛び出していった。

 そのまま、音もなく芝生に着地する。

 心も追いかけようとするが、彼の部屋は三階にあるのだ。

 いくら体が丈夫だからとはいえ、この高さを飛び下りることはできない。

 その間に、ぱかおはすごいスピードで庭を駆け抜けていく。

 そして、生垣を飛び越え一色邸の敷地外に出てしまった。


「ぱかお……!」


 心は急いで部屋を出ると、一階の玄関へと向かう。

 あまりにも焦っていたので、足を踏み外し階段から転げ落ちてしまった。

 その音を聞きつけた透花が、部屋から出て来る。


「心くん、どうしたの……!?」

「ぱかおが、どこかに行っちゃった……!」

「え……?」

「追いかけないと……!」

「あっ、待って!」


 透花の制止の言葉も聞かずに、心は走り出す。

 恐らく、階段から落ちた時に捻ってしまったのだろう。

 足首に微かな痛みが広がったが、それでも足は止めない。

 心はそのまま、靴を履くことも忘れ裸足で屋敷の外に出る。

 そして、ぱかおが消えた方向へ全速力で向かうのだった――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ