元気な顔が見たいよ
「ただいま……」
「心くん、おかえりなさい」
「晴久さん、ぱかおは……?」
「それが……」
心が帰宅しても、ぱかおは眠ったままだった。
晴久によると、昼頃に一度起きたらしい。
すごい勢いで食事だけすると、話をする間もなく再び寝てしまったそうだ。
「最後の方は、お皿に顔を入れたまま寝てました……」
「そっか……」
「……今日の夕飯はカレーの予定なんです。心くんも、ぱかおくんに負けないくらいたくさん食べてくださいね」
「ん……」
心を元気付けようと、晴久は明るく声をかける。
ぱかおの様子が変わってから、心は食が細くなってしまっているのだ。
この日も、心は一度もお代わりすることなく夕飯を終える。
今までなら、カレーの日はご飯かルウのどちらかがなくなるまで食べていたのだが。
夜も更け、心の就寝時間が近付いてもぱかおは眠り続けたままだ。
(ぱかお、ほんとにどうしちゃったんだろ……。早く起きて、元気な顔を見せてよ……)
そんなことを考えながらベッドに横たわると、ぱかおを抱く。
最近は、可能な限りこの体勢で寝るようにしていた。
今までのように話が出来ない分を、必死に取り戻そうとしているのだろうか。
(もふもふで気持ちいい……。すぐに眠くなっちゃうな……)
ぱかおの毛に触れている内に、心はいつの間にか夢の世界へと旅立っていたのだった――――――――――。