表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十二話 ディモルフォセカな君が好き
341/780

銀色の化け物

「なあなあ! 知ってるか!?」

「急にどうしたんだよ」

「最近この王都にさ、化け物が出るって噂があるんだって!」

「あっ! 俺、それ聞いたことあるぜ!」


 それは、授業の間にある短い休み時間のことだった。

 数人の生徒が集まり、何やら噂話をしている。

 席が近かったため、それは自然と心の耳にも入ってきた。


「化け物ぉ!? なんだよそれ!」

「そいつは、夜になると突然現れるらしいんだ……」

「そ、それで……!? どんなことをしてくる化け物なんだ……!?」

「いや、それが何もしないんだってさ」

「……は?」

「すげーデカい銀色の物体が、猛スピードで王都を走り回ってるらしい」

「動きが速すぎて、映像に収められたりできないって言われてるよな」

「……別に何もしてこないなら、化け物でもなんでもなくね?」

「いやいや、正体不明なんだから化け物でもいいだろ!」

「俺が思うにあれはさ……」


 話は、その化け物の正体を推測する方向に進んでいく。

 次の授業の準備をしながら耳を傾けていた心の胸が、少しだけざわついた。


(銀色の化け物……。……ううん、そんなはずない。ぱかおはすごく小さいし……)


 嫌な予感を振り払うように首を横に振ったところで、授業開始のチャイムが鳴る。

 次の科目の教師が、教室に入ってきた。


(最近授業に集中できてないから、ちゃんと聞かないと……)


 ぱかおの様子が変わってから、心は勉強に身が入らなくなってしまった。

 自分でも意識しない内に、ぱかおのことを考えてしまうのだ。

 普段からぼーっとしているので、その違いを友達や教師には気付かれていないのだが。


(……今日は部活が休みだから、いつもよりも早く帰れる。ぱかおが起きてて、久しぶりに話ができるといいな……)


 そんなことを考えながら、心は教科書を開く。

 なんとか集中しようと鉛筆を握ると、黒板の内容を書き写していくのだった――――――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ