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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十一話 ライラックの香りを求めて
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特別であることに変わりはない

 二人の間に、重苦しい沈黙が流れる。

 クレアを励ましたいが、どのように声をかければいいのかわからないのだ。


「……トモヒサはもう、私のことなんて覚えてないよね」


 クレアが、寂しそうにぽつりと言葉を零す。


「そ、そんなことありません……!」

「え……?」

「おじいちゃんは、クレアさんのことを忘れてなんかないですよ……!」


 晴久の脳裏には、幼い頃のとある記憶が蘇ってきていた。


「僕が小さい頃、話してくれたんです。海で溺れていたところを人魚に助けてもらったって」

「ほんとにトモヒサ、そんなこと言ってたの……?」

「はい。てっきり、子どもの僕を喜ばせるための作り話だと思ってました。でも、違ったんですね。その人魚って、クレアさんのことですよね」

「うん……! それ、アタシ…! そっかぁ、トモヒサ、アタシのこと覚えてたんだ……!」

「おじいちゃん、とても嬉しそうに話してくれましたよ。その人魚は、自分の恩人だって」


 クレアの頬が、次第に綻んでいく。


「……恩人かぁ。ほんとは奥さんになりたかったんだけど、まぁいっか! 恩人も、トモヒサにとって特別な存在だもんね! ハルヒサ、教えてくれてありがと!」


 そう言ったクレアの顔は、笑顔で満たされていた――――――――――。

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