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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十一話 ライラックの香りを求めて
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目覚めると、そこは

(なんだか、ふわふわします……)


 海に投げ出された晴久は、気を失っていたようだ。

 今まで触れたことのない感覚に揺られながら、目を開ける。


(ここは、どこでしょう……? 確か僕は、海に落ちたはずじゃ……?)


 彼の目に飛び込んできたのは、光沢感があるがあまり高くない天井だ。

 ゆっくりと体を起こすと、当たりを見渡す。

 すると、一人の少女と目が合った。

 長い金髪を靡かせながら、こちらに泳いでくる。

 彼女の下半身は、人間のものではない。

 本来足があるべき場所には、ウロコやヒレが付いているのだ。


「あ、起きたー? ごめん! 人違いで連れてきちゃったみたい!」


 その声は、晴久の想像よりも明るいものだった。

 急な展開についていけず、晴久は上手く話すことができない。


「あ、え、えっと……。その……」

「目が覚めてこんなとこにいたら、そりゃビックリするよねー! ここは私の部屋! 要するに、海の中ね! そんでもって私の名前はクレア! 見た通りの人魚でーす!」


 戸惑う晴久を気にかける様子もなく、クレアと名乗った人魚はケラケラと笑う。

 それは、見たこともないほど美しい光景だった。

 澄み切った水の中を、色とりどりの魚たちが泳いでいる。

 晴久が寝ていたのはどうやらベッドで、大きな貝で出来ているようだ。

 海中だというのに、不思議と息は苦しくない。


(に、人魚です……! 僕、本物の人魚に会ってます……!)


 こうして晴久は、予期せぬ形で人魚と出逢うことに成功したのだった――――――――――。

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