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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十一話 ライラックの香りを求めて
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染み入る優しさ

「……王宮に来てから食べた料理の中で、一番優しい味だ」


 廉太郎は、ぽつりとそう言った。

 皿の中はすっかり空になっている。


「あ、ありがとうございます……!」

「……私が求める品に、最も近いのもこれだ」

「恐縮です……!」


 廉太郎はスプーンを置くと、晴久をまっすぐに見つめる。


「……君が、王様が言っていた遠野くんだね」

「はい……!」

「君のスープは、とても美味しかった。この後も他のシェフの品を食べる予定があるというのに、思わず完食してしまうほどだ。……ぜひ、私が求める料理の再現に参加してほしい」


 晴久はどうやら、廉太郎のお眼鏡にかなったようだ。

 その言葉を聞き、緊張のせいで強張っていた体から力が抜けていく。

 そして晴久は、安心したような笑みを浮かべた。


「はい。僕でよければ喜んで」

「……そうか。ありがとう」

「早速なんですが、その品について詳しく聞かせてもらうことはできますか?」

「ああ、勿論だよ。あれは私が若い時に、海が綺麗な町で食べたものだ……」


 遠い思い出を、懐かしんでいるのだろう。

 廉太郎は優しい表情で、自分の求める料理について晴久に語るのだった――――――――――。

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