きらびやかな二人
「これはこれは、なんとも有意義な話が聞けましたな」
「そう仰っていただけて光栄です」
「失礼ですが、お名前をお聞きしても?」
「一色隊所属の二階堂湊人と申します。ぜひともご贔屓に」
「はっはっは、わかりましたぞ。何かありましたら、ぜひともお願いいたしましょう。そういえば、一色隊は若い女性が治められていると聞いたような……」
「はい。あちらにいるのが隊長の一色透花でございます」
「ほう……。あの女性が……」
湊人は、有力者たちとのパイプ作りに勤しんでいた。
自分の名前を売るだけではなく、隊長である透花の紹介までするのだから見事なものだ。
透花を紹介された者たちは、必ず同様の反応を返す。
「なんとも、美しい方ですな……」
透花は、会場にいるどんな令嬢よりも美しかった。
振る舞いもとても優雅であり、同性でも思わず見惚れてしまうほどだ。
それは、普段から彼女を見慣れている隊員たちにとっても同じようだ。
「透花さん、綺麗だよね……」
「うん! とうかねえはいっつもきれいだけど、今日はいちだんときれいだよ!」
「………………………………♪」
「透花さんを堂々とエスコートする虹太くんもすごいですよね」
(……正直、見直したかも)
柊平たちのグループでも、同じような会話がされていた。
「こうやって改めて見ると、あいつって美人だよな。普段は近すぎてあんま意識しねーけど」
「今日はドレスを着てますし、いつもよりも化粧バッチリっすからね! でも、透花さんはそんなのなくてもいっつもキレイっすよ! 髪もサラサラですし、肌もツヤツヤっす!」
「……椎名はすごいな。隊長の隣に立って、ああも立派に立ち回れるとは……」
隊員たちから、虹太への認識が改められた瞬間だった。
噂をされていることなど気付かない虹太は、くしゃみが出そうになるのを懸命にこらえながら透花をエスコートしていたという――――――――――。