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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十話 誕生日にはポインセチアを添えて
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忍び込ませたプレゼント

 前日に指示された通りの配置に着く。

 心、美海、大和はご馳走を堪能し、理玖は食べられるものが少ないので酒を飲んでいた。

 そんな四人に付き添いながら、晴久は琉生を見る。


(琉生くん、気付いてくれるでしょうか……)


 琉生のテーブルには、一色隊からの贈り物が忍び込ませてあるのだ。

 本人には知らせていないため、サプライズというものである。

 琉生はテーブルを見渡すと、目を輝かせ一つの品を手に取った。

 そして、それをスプーンで口へと運ぶ。

 その瞬間、笑顔が広がったのを晴久はしっかりと見届けた。


(食べてもらえました! 大変だったけど、作ってよかったですね)


 琉生が食べたのは、オムライスだった。

 それは、一色邸に初めて来た時に晴久が振る舞ったものである。

 小さな器に綺麗に盛り付けられているため、他の料理と比べても見劣りはしない。

 琉生ほどの立場の者なら、欲しい物は簡単に手に入ってしまうだろう。

 自分たちにしかできない特別な贈り物をしたいと考え、実行した結果がこれだ。

 もちろん、王への許可は取ってある。

 だが、さすがに一色邸で作ったものを持ち込むことは断られたため、晴久は王宮の厨房で監視されながらオムライスを作ったのだ。

 一国の王子が口にする料理に万が一のことがあってはならない。

 そのため、厨房に入ることを許されたのは晴久のみである。

 自分に向けられる厳しい視線に耐えながら、彼は見事オムライスを完成させたのだった。


(琉生くん、僕が作ったって気付いてくれたみたいですね。サプライズ大成功です!)


 琉生は、すぐにこのオムライスを作ったのが誰だか気付いたようだ。

 晴久の姿を探すように、辺りをきょろきょろと見回している。

 だが、琉生の位置からは晴久を見つけられなかったようだ。

 近くにいる柊平に声をかけ、何やら言っているように見えた。

 その姿を確認し温かい気持ちになった晴久は、自分の任務へと戻っていくのだった――――――――――。

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