白の軍服を身に纏う者たち
リベルテ歴183年のとある春の日、王都ヴァンにて――――――――――。
「柊平さん、これって何の意味があるのー? さっきからずっと見回りしてるけど、問題なんて全然起こらないじゃん!」
「……問題が起こらないための見回りなんだから当たり前だ。いいから、さっさとゴミを拾え」
「だって俺、手が汚れるの嫌なんだもーん」
「……そう言うと思ってお前には、手袋だけではなくトングまでやっただろう。働け。」
「おい、ハル。体調悪いなら、その辺に座って少し休んどけよ」
「……あ、蒼一朗さん。大丈夫です! 皆さん働いてるのに、僕だけ休むなんてできませんから……!」
「……春原と心の方見てみろ。あいつら、ちっとも働いてないぜ……」
「……本当ですね。理玖さんは読書してるし、心くんは……何してるんでしょうか?」
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(あ、ちょうちょ……)
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(……テントウ虫もいる。こんにちは)
「ゴミがなくなって、庭がキレイになるのを見ると気持ちいいっすね! 湊人さん!」
「うん、そうだね颯くん。僕らがこうして働くことが、透花さん、そして僕らの信用に繋がっていくわけだから、頑張らないといけないよね」
「……あれ? そういえば透花さんは……?」
「透花さんなら、少し前に王様に呼び出されていたよ。だから、しばらくは戻って来れないんじゃないかなぁ」
白い軍服に身を包んだ八人の男たちが、ゴミ袋を片手に周囲の見回りをしていた。
ここは王宮の庭であり、今は盛大な花見の宴が開かれているのだ。
今日は庭を開放しており、貴族だろうが庶民だろうが自由に出入りすることができる。
彼らの隊は、そのゴミ拾いと見回りを任されているのだ。