遡ること二ヶ月前
この日、隊員たちは透花の執務室に集められていた。
ここで話があるということは、任務についての連絡である。
「本日、琉生様より二か月後に行われる生誕パーティーへの招待状をいただきました」
全員いるのを確認すると、透花は話し始めた。
「琉生様は、私たちを友人として招待したいと思っているみたい。……でも、現実的に考えるとそれは難しい話です。私たちは、一介の軍人に過ぎないのだから」
琉生は、一国の王子なのだ。
その生誕パーティーということは、各国の王族や有力者が集う場という意味でもある。
特別な身分を持たない彼らが参加するのは、場違いにも程があるだろう。
「……お気持ちは尊重したいけれど、軍人としての筋も通さなければなりません。なので、琉生様にはあくまでも友人として招待に応じること。それとは別に、琉生様の警護も兼ねるので身分のことには目を瞑って参加させてほしい旨を王様に伝えました。快諾を得られたので、当日は全員で生誕パーティーに参加します」
透花の言葉に、皆はそれぞれ反応を返す。
「かしこまりました」
「わかったぜ」
「りょーかーい☆」
「ご馳走、食べれるかな……」
特に異論のない者。
「そんなパーティーにお招きいただけるなんて、とても光栄なことだね」
権力者と近付けるチャンスに、笑顔を浮かべる者。
「パーティー……。ってことは大量の女の人が!?」
「あまり人が多いと、人酔いしてしまいそうですね……」
不安を訴える者。
「………………………………」
無言でため息を吐く者。
予想通りの言動に、透花は思わず笑みを零してしまった。
「できるだけみんなの負担にならないような配置を考えるから安心して。パーティーが近くなったらまた招集をかけるので、その時に詳しい話をしましょう。では、これにて解散!」
こうして一色隊の、琉生の生誕パーティーへの参加が決定したのだった。