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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十話 誕生日にはポインセチアを添えて
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祝宴の幕開け

「それではこれより、琉生様のご入場となります! 皆様、大きな拍手でお迎えください!」


 一色隊は現在、王宮のとあるホールに集っている。

 彼らは、長い夏休み明け最初の任務に就いているのだ。

 だが、いつもの白い軍服を着てはいない。

 各々が、正装に身を包んでいる。

 本日は、王子である琉生の生誕パーティーが開かれているのだ。

 司会者の合図で、琉生が国王と王妃に手を引かれ入場してきた。

 その表情は一色邸に遊びに来る時とは違い、年齢にそぐわない毅然としたものだ。


「本日は、息子である琉生のために集まってもらったこと感謝するぞ!」


 国王が開会の挨拶を始めた。

 琉生は自分の視線の中に、見知った集団がいることに気付く。

 すると、先程までの表情を崩し子どもらしい笑顔を浮かべた。

 いつもの彼らならば、気軽に手でも振り返していただろう。

 だが、ここは王宮のホールであり、今は国王のスピーチの途中である。

 透花たちは、笑顔を返すのみとした。

 これを見た琉生は再び表情を引き締めたが、どこか喜びを抑えきれない顔をしている。

 王子として振る舞わなければならないと、頭ではわかっているのだ。

 しかし、友人が自分の誕生日を祝ってくれるのは嬉しいものである。

 それを隠し切れるほど、琉生はまだ大人ではなかった。


「それでは、挨拶はこの辺にしますかな! 皆の者、グラスを持て! 乾杯!」

「「「「「王子様、お誕生日おめでとうございます!」」」」」


 国王の号令と、琉生への祝いの言葉がホール全体に広がる。

 これによって、生誕パーティーは幕を開けたのだった。


「それじゃあ、打ち合わせ通りの配置でお願い。何かあったら、すぐに伝えてください」


 透花の言葉で、隊員たちも各々の持ち場へと散らばっていく。

 彼らは、ただの招待客としてここにいるのではない。

 琉生を祝いたい気持ちはもちろんあるが、任務としてこの場に立っている。

 事の発端は、二ヶ月ほど前へと遡るのだった――――――――――。

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