表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十七話 アフリカンマリーゴールドの先にあるもの
287/780

軽いかな? まあ、いーじゃん☆

「隣、座ってもいいかな?」

「うん。どうぞ~」


 透花さんは、俺の隣に座った。

 それから、お互いに自己紹介をする。

 俺たち、名前も知らなかったからね。


「私の名前は一色透花。あなたの名前を聞いてもいいかな?」

「もっちろーん☆ 俺の名前は椎名虹太! 気軽に下の名前で呼んでね♪」

「じゃあ、お言葉に甘えて虹太くんって呼ばせてもらうね」

「うんうん。俺も名前で呼んでもいーい? 透花さんって、とっても綺麗な名前だよね☆」

「ありがとう。虹太くんも、素敵な名前だと思うよ」


 ……ここで、会話が途切れた。

 俺は、内心めちゃくちゃパニックだったよ!

 だって、ここで透花さんに会うなんて思わなかったんだもん!

 それに、どうしてコンクールに出なかったのか聞かれるのも嫌だった……。

 ……でも、透花さんの視線は俺が持ってた求人雑誌に注がれてたんだよね。

 そして、こう言ったんだ。


「虹太くん、仕事を探しているの?」


 俺は、一瞬あっけにとられちゃったよ。

 まさか、そんなことを聞かれるなんて思わなかったからさ。


「……うん。俺、こっちの大学に通ってるんだ~。これを機に、今までしたことないバイトでもしてみよっかなーと思って♪」

「そうなんだ。もう、どういうバイトをするか目星はついている?」

「ううん、ぜーんぜん! 俺でもできるバイトがあったらいいんだけどね~」

「虹太くん、住み込みのバイトに興味はない?」

「……住み込み?」

「うん。料理も洗濯も、専属の人がやってくれるよ。自室の部屋の掃除くらいは自分でやってほしいけど、お願いすればそれもやってもらえると思う」

「何それ!? 至れり尽くせりじゃん! その分、仕事がめちゃくちゃキツイとか……?」

「ううん。大学に通いながら趣味の時間もとれるくらい時間に余裕はあるよ」

「すっごい!! ほんとにそんな仕事あるの!? 超興味あるんだけど!!」


 俺は、すぐにその話に飛びついた。

 だって、家事を全部やってもらえるんだよ!?

 そんな夢みたいな仕事があったら、やってみたいじゃん!

 いい加減、頻繁にお手伝いさんを呼ぶのも悪いなって思ってたしさ。

 俺の反応を見て、透花さんはにっこりと笑う。


「じゃあ、見に来てみない? それで嫌だったら、止めても大丈夫だから」

「透花さんが案内してくれるの? 行く行くー♪」


 そのまま一色邸に行って、俺は即入居を決めたんだよね!

 詳しい仕事の内容も聞かずに即決したから、透花さん驚いてたよ~。

 だって、俺の実家よりも広くて綺麗な屋敷にタダで住めて、給料も貰えるんだよ!?

 しかも、ハルくんみたいな優しくて丁寧な人に家事までやってもらえるし!

 そんなの、やるしかないじゃん☆

 それから、透花さんが軍の隊長で俺はその隊員になるってことを聞いて、今度はこっちがびっくりする番だったんだけどね。

 それでも、俺の入居の決意は変わらなかった。

 家事をやらなくていいっていうのが、もちろん一番の理由だったけどさ。

 ここに住んでる人たちも面白そうな人ばっかりだったから、退屈しなそーじゃん?

 一目惚れした透花さんとも、一緒に暮らせちゃうしね☆

 ……一人暮らしは、やっぱりちょっと寂しかったんだ。

 だから、誰かと一緒にいたかった。

 自分のことをほとんど知らない人たちとなら、一緒に暮らせるかもって思ったんだよね。

 そしてそのまま、今に至るってわけ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ