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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十七話 アフリカンマリーゴールドの先にあるもの
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とある公園での再会

 俺は、高校を卒業するとすぐに王都で一人暮らしを始めたんだけど……。

 もう、めっちゃ大変!!

 今までお手伝いさん任せにしてたことを全部一人でやらなきゃなんないんだもん!

 自分で言うのもなんだけど、俺って音楽以外はほんとにポンコツだからさー……。

 部屋はすぐに汚くなるし、洗濯なんてやったことないし……。

 ……指を大切にしたい気持ちがあったから、包丁を握れなくて料理はできなかった。

 時々実家のお手伝いさんにうちに来てもらったりして、なんとか生活は成り立ってた。

 そして、あっという間に二年が経っちゃったんだ。

 俺は、普通の大学生としての生活を楽しんでたよ。

 ……でも、だんだんつまんなくなってきちゃってさ。

 やっぱり俺にとって、ピアノ以上に楽しいことなんてないんだもん。

 

(何か、新しいことでも始めてみるか~……)


 そう思った俺はこの日、近くの公園に行くことにしたんだ。

 ベンチに座ると、さっき貰ってきたフリーの求人雑誌を広げる。

 俺って、同年代の人と比べると圧倒的に社会経験が足りてないと思うんだよね。

 だから、バイトでもしてみるのはどうかなって。

 ……この先、ピアニストとして食べていくことはできないだろうし。

 色々経験して、少しでも普通の人に追い付かないと……。


「あれ? あなた……」


 そんなことを考えながら求人雑誌を読んでいた俺の耳に、聞いたことのある声が届く。

 ……俺は、耳がよかったからね~。

 音楽だけじゃなくて、人の声も一度聞いたら忘れないんだ。


「こんにちは。私のこと覚えている?」

「……うん。もちろん覚えてるよ~。久しぶり、お姉さん」


 こうして俺は、透花さんと再会したんだ――――――――――。

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