神童と呼ばれた過去
俺って、音楽に関してはほんとにすごかったんだよね~。
絶対音感があったし、一度聴いた曲はその場で記憶できちゃうし。
「音楽界に、新たな光が現れたぞ……!」
「まさに神童だ……!」
だから、小学生の頃にはコンクールで賞を総なめだったんだよ!
同年代では向かうところ敵なしって感じでさ☆
場に合わせた音楽の使い分けも、うまかったんだ~。
コンクールとかではクラシックを楽譜通り正確に演奏する。
「こうた、すっげー!」
「なあなあ! 次はこの曲ひいてくれよ!」
でも、友達の前では流行りの歌やアニソンなんかを盛り上がるように弾くんだ!
この頃になると、自分に自信がついてきてたからね。
また、友達を作れるようになった。
色が見えない分、人の表情はよく見てたよ。
今コミュ力が高いのも、子どもの頃の経験のおかげだと思うし。
こんな感じで、ピアノにかなりの比重を置きつつも普通の生活を送ってたんだ。
……高校生までは楽しかったんだけど、才能は人のやっかみを買うんだよね。
それまで他人の悪意に晒されてこなかった俺は、ほんとに幸せ者だったんだと思う。
周りの人間に、恵まれてたんだろうね……。