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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十七話 アフリカンマリーゴールドの先にあるもの
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セピア色の世界を変えたもの

 俺は、お金持ちの家に生まれた。

 すごく幸せな生活だったと思うよ~。

 両親は一人っ子の俺を大切にしてくれるし、お手伝いさんもたくさんいたしね。

 ……でも一つだけ、みんなとは違うところがあったんだ。

 俺は生まれつき、色を判断する力が弱かったみたい。

 まあぶっちゃけて言っちゃえば、白と黒以外はハッキリとわかんないんだよね!

 そのせいで、色々苦労したよ~。

 食べ物はおいしそうに見えないし、花を見てもちっとも綺麗だと思えないんだもん!

 焼けてるのかどうかわかんないから、バーベキューとか焼肉はニガテ~。

 そもそも、食べ物自体に執着がないんだけどさ。

 服の色遣いが独特だってよく言われるけど、まあしょうがないよね~。

 自分でも、どんな色の服を着てるのかわかってないんだ。

 両親もお手伝いさんもいたから、日常の生活には困らなかったよ。

 でも、友達と遊ぶのはまた別の話でさ……。

 俺は自分が色覚異常のことを、家の人以外には言ってなかったんだよね。

 言えばよかったのかもしんないけど、なんとなく言いたくなかったんだ。

 だから、みんなとうまく遊べないことも多くて……。

 ……徐々に、外に出ずに塞ぎ込むようになっちゃった。


「虹太、どうだ! すごいだろう!?」

「うわあ……! これ、なに……?」

「ピアノって言うのよ。とても綺麗な音が出るの」

「ぴあの……」


 ……そんな俺に、両親が与えてくれたのがピアノだったんだよね。

 初めてそれに触れた時の衝撃は、今でも忘れない。

 鍵盤も楽譜も、白と黒だけで完結する世界。

 まさに、俺のために作られた楽器なんじゃないかとか子どもの頃は思ってたな~。

 すぐにのめり込んで毎日練習してるうちに、俺はどんどんうまくなっていったんだ!

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