それは、突然のことだった。
「父さん……? 母さん……!?」
僕が大学二年のある日、家に帰ると両親が死んでいた。
……死因は、薬物の大量摂取による自殺だったよ。
僕は、生活に不満を持ってはいたけど育ててもらったことに感謝はしてた。
だから、両親が死んだことは人並みにショックだったんだけど……。
同時に、僕の心をいくつもの疑問が過ぎる。
貧乏を気にせずに前日まで笑っていた二人が、どうして急に自殺なんかするの?
致死量に至るほどの薬を買うお金なんか、うちにはないはずなのに……。
……それに、遺書だって残されてなかった。
警察に訴えてはみたけど、まともに取り合ってもらえなかったよ。
二人の死体に、特に不審な点はなかったからね。
ここで、僕に追い打ちをかけるような事実が発覚する。
……両親が、大量の借金をしていたんだ。
これも、僕には疑問だったよ。
借金をしていたなら、もう少し生活が豊かでもよかったはずだもの。
でも、僕の家は昔からずっと貧乏だったし……。
両親が無駄遣いしてるところなんて、見たことなかったからね。
何かがおかしいと、思った。
……だけど僕は、徐々に考えることすら放棄せざるを得ない状況に追い込まれる。
両親が残した借金が、自分の身に降りかかることになったから――――――――――。