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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十六話 いつも心にユウガオを
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全ては明るい未来のために

 僕の家は、簡単に言うと貧乏だった。

 両親ともに働いてたし、子どもは僕一人だったのに不思議だよね。

 まあ、あまりいい仕事に就けていなかったんだと思う。

 生活していく分には困らないけど、決して贅沢はできない暮らし。


「家族三人で仲良く暮らしていければ、それだけで充分じゃないか」

「そうね。病気や怪我には気を付けて、元気に生きていきましょう」


 両親はそう言ってたけど、僕はそう思わなかったなぁ。

 子どもの頃から、ずいぶん捻くれてたんだろうね。

 みんなが買ってもらえるようなゲームとかは絶対に買ってもらえないし。

 だから、持っているおもちゃで工夫して長く遊ばないといけなかった。

 琉生様に教えた割れにくいシャボン玉も、この頃に考えたものだしね。

 ゲームは、自分でお金を稼げるようになったらたくさん買おうって決めてたよ。

 そのためには、両親とは違っていい職業に就かなきゃいけないわけだけど……。

 世の中って、残酷だよねぇ。

 貧乏人の子どもは貧乏人っていう、負のスパイラルがあるんだもの。

 いい職業に就くためには、いい学校に入らないといけない。

 そのためには、人よりもたくさんの勉強が必要でしょ?

 でも僕は残念なことに、教科書以外の教材や本なんて買ってもらえない。

 ……両親は、必要最低限の勉強しかしてこなかった人たちだから。

 僕がその大切さを必死に訴えても全然伝わらないんだ、困ったものだよ。

 だから僕は、毎日図書館に通ってたくさんの本を読んだ。

 とにかく勉強して、家から通える範囲で一番偏差値が高い高校を受験した。

 入学試験で優秀な成績を収めた者には、奨学金が貰える場所をちゃんと選んでね。

 主席合格だったから、無事に奨学金も貰えることになったよ。

 高校に入っても、やることは変わらない。

 毎日図書館に通って本を読んで、たくさん勉強して……。

 あっという間に、大学受験の季節になっていた。

 僕はやっぱり、家から通える範囲で一番偏差値の高い大学を受験した。

 あっ、家から離れたくないとか、そういう理由じゃないからね。

 下宿や一人暮らしできるようなお金がなかっただけの話だ。

 もちろん主席合格して、奨学金を貰いながら大学に通えることになったんだけど……。

 それは、僕が大学二年の時に急に起こったんだ――――――――――。

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