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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十六話 いつも心にユウガオを
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意外な特技

 僕たちは今、とあるバーベキュー施設に来てるよ。

 ここは、少し変わってるらしくてね。

 食材の持ち込みは自由だけど、近くにある畑や川からとってもいいそうだ。

 せっかくだから、肉や主食だけ用意して残りは現地調達ってことになったんだけど……。


「あれ? 全然火が点かないよー」

「おかしいっすね! この炭、全然燃えないっすよ!」

「困ったな。どうしたものか……」


 ……明らかに、この班は人選ミスだと思うんだよねぇ。

 魚は、蒼一朗さんと大和くん、そして透花さんが川に釣りに行った。

 畑には、晴久くんに春原さん、心くんと美海ちゃんにぱかおが行ったんだけど……。

 まずここ、人数多すぎだと思わない?

 野菜を持ってくるだけでこの大人数って……。

 晴久くんも春原さんも非力だから仕方ないとは思うけどさぁ。

 そして火起こしを任されたのが、虹太くんと颯くん、久保寺さんに僕の四人というわけだ。

 虹太くんと颯くんには、正直期待してなかったよ。

 でも、まさか久保寺さんまで出来ないとは思わないでしょ……!

 いつも、なんでも完璧にこなしてるのにさ……。


「……炭に直接火を点けるのは難しいですよ」


 その様子を見かねた僕は、嫌だったけど口を出すことにした。

 火が点いてなくて、戻ってきた透花さんにガッカリされる方が嫌だからね。


「確か、着火剤があったはずです。久保寺さん、取ってもらえますか?」

「あ、あぁ……。これか?」

「そうです。あと、この炭の組み方はよくないですよ。空気の通り道がないですもん」

「へー! たくさん使えばいいってもんじゃないんすね!」

「湊人くんすっごーい☆ 超物知りじゃーん!」

「……はぁ。どうもありがとう。勝手に組み直させてもらうよ」


 僕は炭を組み直すと、久保寺さんから受け取った着火剤に火を点ける。

 しばらくすると、着火剤から炭に火が移り始めた。


「団扇で扇ぎながら、時々炭を足してください。灰色になったら完成です」

「あっ、扇ぐのなら俺にもできるよ~☆」

「俺もっす! 虹太さん、やりましょう!」


 ここまでやれば、不器用と無知な二人でも大丈夫でしょ……。

 その場を離れようとしたけど、柊平さんが僕を見ていたので足を止める。


「なんですか?」

「……いや、すごいと思ってな」

「ふふっ。お褒めいただき、ありがとうございます」

「……二階堂は、こういうアナログなものは苦手だと勝手に思っていた」

「……まあ、好きではないですよ。でも僕、こう見えて意外と逞しいんです」


 得意の営業スマイルを浮かべると、さっきまでの場所に戻った。

 久保寺さんは何か言いたそうだったけど、それに付き合うほど僕は優しくないよ。

 それに、この流れは断ち切っておきたかったし。

 ……聞かれたところで答えないけど、過去について詮索されるのは嫌だからね。

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