黄色い花を求めて
しばらくすると、柊平さんと理玖さん、泣き止んだ美海が寝室から出てきた。
「理玖、どうだった?」
「……心配しなくても、命に関わるような病気じゃない。だけど、できるだけ早く薬を飲ませた方がいい。……残念ながら、僕の手持ちの薬草じゃ足りないんだ。こんなことになるなら、スタビリテルールを持ってくればよかった……」
「それなら、ちかくにさいてるよ! きいろいおはなでしょう?」
「……うん」
「みうがあんないするよ! ついてきて!」
そう言うと美海は、理玖さんの手を取った。
理玖さんは特に嫌がる様子もなく、それに着いていく。
……僕はこの時、みんなのことをまだ信じられなかった。
……何年間も、他人からの負の感情のみに晒されてきたから。
助けてくれたから、いい人なんだろう。
頭ではわかっていても、心がついていかなくて……。
「……僕も、行く」
気付いたら、そう口にしていた。
美海と二人きりにはしたくないって思ったんだ。
「三人だけで何かあったら大変だから、柊平さん、一緒に行ってもらえる?」
「かしこまりました」
「私は、ここに残ります。村の人たちがやって来ないとも限らないからね」
……お母さんを、透花さんと二人だけで残していくことに不安もあった。
でも彼女の言う通り、また村の人たちが来るかもしれない……。
……彼らより透花さんの方が、まだ安心できる気がした。
……さっき会ったばかりの人なのに、不思議だよね。
でも、この時の僕はなぜかそう思ったんだ。
「こっちだよ! はやく! おかあさんにおくすりつくって!」
「……じゃあ」
「行ってまいります」
「行ってらっしゃい」
「………………………………」
僕は、何も言わずに家を出る。
そして、目的の花が咲いてる場所へと四人で向かったんだ――――――――――。