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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十五話 チューリップを隠さないで
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黄色い花を求めて

 しばらくすると、柊平さんと理玖さん、泣き止んだ美海が寝室から出てきた。


「理玖、どうだった?」

「……心配しなくても、命に関わるような病気じゃない。だけど、できるだけ早く薬を飲ませた方がいい。……残念ながら、僕の手持ちの薬草じゃ足りないんだ。こんなことになるなら、スタビリテルールを持ってくればよかった……」

「それなら、ちかくにさいてるよ! きいろいおはなでしょう?」

「……うん」

「みうがあんないするよ! ついてきて!」


 そう言うと美海は、理玖さんの手を取った。

 理玖さんは特に嫌がる様子もなく、それに着いていく。

 ……僕はこの時、みんなのことをまだ信じられなかった。

 ……何年間も、他人からの負の感情のみに晒されてきたから。

 助けてくれたから、いい人なんだろう。

 頭ではわかっていても、心がついていかなくて……。


「……僕も、行く」


 気付いたら、そう口にしていた。

 美海と二人きりにはしたくないって思ったんだ。


「三人だけで何かあったら大変だから、柊平さん、一緒に行ってもらえる?」

「かしこまりました」

「私は、ここに残ります。村の人たちがやって来ないとも限らないからね」


 ……お母さんを、透花さんと二人だけで残していくことに不安もあった。

 でも彼女の言う通り、また村の人たちが来るかもしれない……。

 ……彼らより透花さんの方が、まだ安心できる気がした。

 ……さっき会ったばかりの人なのに、不思議だよね。

 でも、この時の僕はなぜかそう思ったんだ。


「こっちだよ! はやく! おかあさんにおくすりつくって!」

「……じゃあ」

「行ってまいります」

「行ってらっしゃい」

「………………………………」


 僕は、何も言わずに家を出る。

 そして、目的の花が咲いてる場所へと四人で向かったんだ――――――――――。

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