一色隊のゆるちゃらオシャベリスト、椎名虹太
適性試験の最後は、コミュニケーション能力のテストだ。
普通の会話で、どれだけ相手の情報を引き出せるのかが鍵となる。
「喋らないように気を付けてたのに、いつの間にか色々話してたぜ……」
「俺も。会話の流れが自然すぎて、気付いたら喋っちゃってたわ」
「虹太さん、すごいっすね! 俺、意識すればするほどテンパっちゃって、どんどん自分の情報喋っちゃいました……」
「えへへー、颯くん、ありがとー! こういうのにはコツがあるんだよ。喋っちゃダメだーって思うほど、脳が緊張してうまくいかなくなるんだ。だから、いつもみたいに話すのがいちばーんってね☆」
「なるほど! 勉強になります!」
「能ある鷹はなんとやら、ってやつだねー」
「………………………………」
「………………………………」
「湊人くんの生温い視線と、りっくんの絶対零度の眼差しが突き刺さるんですけど……。っていうか前から思ってたんだけど、二人の俺の扱い酷くなーい!?」
コミュニケーション能力試験成績一位、椎名虹太。
持ち前の会話術を活かして、相手の情報を引き出すことに成功した。
彼はこれをなんなく行うので、一種の才能なのだろう。
「いいモン持ってるなー。あれだけスムーズに情報が引き出せる奴、なかなかいないぜ」
「そうだね。諜報部員になるなら、ちょっと派手すぎる感じはするけど」
虹太は、偵察専門部隊の隊員に目をかけられていた。
こうして、全ての試験が終了したのである。