守りたかったもの
僕はその後、透花さんと柊平さんに家まで連れて帰ってもらった。
村の人たちは色々言ってたけど、透花さんには逆らえない不思議な雰囲気があったんだ。
家までの道のりで、金髪の男の人と合流する。
……理玖さんは、少し離れた場所から僕たちの様子を見てたらしい。
「お母さん……! 美海……!」
家の中に入ると、二人は村の人たちによって捕まっていた。
さっきと同じように、透花さんは彼らを無視して柊平さんに縄を解くように指示する。
そして、そのまま村の人たちを家から追い出してしまった。
僕は、急いでお母さんと美海に近付く。
二人は、恐怖で震えていた。
「心……! よかった……! 無事だったのね……!!」
「おにいちゃん……! こわかったよ……!!」
僕は二人を抱き締めながら、透花さんたちに助けてもらったことを説明した。
「そう、そんなことがあったの……。息子を助けていただき、ありがとうございます。なんとお礼を申し上げたらいいのか……」
「お気になさらないでください。私が勝手にやったことですから」
「本当に、ありがとうござ……」
「お母さん!」
「おかあさん!」
途中で、お母さんは気を失ってしまった。
僕は、必死にその体を支える。
「……ベッドまで運んで。僕が診る」
「……わかった。失礼します」
柊平さんがお母さんを抱き上げ、理玖さんと一緒に寝室に入っていく。
美海も、泣きながら後を追っていった。
僕は体が動かなくて、その場に座ってることしかできなかったんだ――――――――――。