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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十五話 チューリップを隠さないで
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満月の夜に舞い降りた奇跡

 満月の夜は、あっという間にやってきた。

 火山、つまりは火の神への生贄なので、僕は火あぶりにされることになった。


(死ぬなら痛くない方がよかったけど、仕方ないよね……)


 そんなことを考えてる間にも、僕の体は木に縄で縛られていく。

 完全に動けない状態になったところで、村の人たちが笑いながらこう言ったんだ。


「すぐに、母親と妹にも後を追わせるからな。安心して死ね」

「そんな……! 話が違う……! 僕が死ぬ代わりに二人には危害を加えないって……!」

「お前みたいな異端児との約束を、守るはずがないだろう」

「今なら、追加の生贄という名目で簡単に処分できるからな」

「騙されてくれてありがとよ」


 ……目の前が真っ暗になった。

 それなら、僕はなんのために自分の命を……?

 途中で邪魔されたら困るから、二人は村の人が監視してるってさっき誰かが言ってた。

 もしかして、今頃捕まってるの……?

 お母さんも美海も、怖くて泣いてる……?

 家族を守りたかったのに、僕は何一つ守れないの……?


「そろそろ時間だ。火を点けろ」


 ……後悔しても、もう遅かった。

 縄でしっかりと木に括りつけられてしまった僕は、その場から動くことができない。


(助けて……! お父さん、助けて……!)


 僕がそう思った、瞬間だった。


「……やめなさい」


 黒髪の女の人が、僕の前に立ったのは――――――――――。

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