それは英断なのか
僕の村は、火山の麓にあった。
村ができてから、噴火したことはないらしい。
……その火山が、この年は今にも噴火しそうだったんだ。
村の人たちは、口を揃えて僕のせいだと言った。
「あんな異端な子がいるせいで、神がお怒りなのだ! 今すぐ追い出さなくては!」
「いや、追い出すだけでは足りないだろう。生贄として、神に捧げるのだ……!」
この頃の僕には、もう抵抗する気力なんてなかった。
お母さんは村を出ることを提案してくれたけど、そんなの無理だと思い込んでたし……。
僕は、生贄になる代わりに村の人たちに一つだけお願いをした。
「……お母さんと妹は、みんなと変わらない見た目をしてる。僕が死ねば、もう迫害される理由はない……。二人に危害を加えないなら、僕は生贄になってもいいよ」
村の人たちは、これを快く受け入れてくれた。
これで、僕が死んでも二人の安全は保障される……。
……お父さんに言われたから、二人を守ろうと思ったんじゃない。
僕自身が、二人を守りたいと思ったからこその決断だった。
こうして僕は、次の満月の夜に生贄になることが決まったんだ――――――――――。