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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十五話 チューリップを隠さないで
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幸せだった日々

 僕は、小さな村で生まれた。

 そこはとても閉鎖的で、新しいもの、余所者などは受け入れられないような場所だった。

 そんな村で、僕はお母さんと、お父さんと一緒に暮らしてた。

 ……お父さんは、村の外から来た人だったらしい。

 他のみんなとは違う浅黒い肌、そして真っ赤な瞳をしていた。

 ……僕と、そっくりだったと思う。

 村の人たちは、僕たち家族に辛く当たった。


「あんな赤い目の人間なんて見たこともない! 気味が悪い!」

「人間ではなく、あの男は化け物なんじゃないか?」

「では、息子は化け物の子だな! 片目とはいえ、父親によく似た色をしている」

「不気味だ……。あの家族は、いつかこの村に災いをもたらすんじゃないか?」


 でも、平気だった。

 お父さんはとても強い人で、いつでも僕とお母さんを守ってくれたから。

 僕の目は、片方だけお父さんに似て赤だった。

 ……他の人は色々言うけど、僕にとってこの色は誇りだった。

 強くて優しい、大好きなお父さんと同じなんだから。

 他の場所で暮らすことは、家族全員考えもしなかったと思う。

 お母さんと僕は村以外のことは知らなかったから、ここが閉鎖的だと気付かなかった。

 他の場所に行っても、どうせ同じ扱いを受けるって思い込んでて……。

 お父さんは、自分の故郷について話したことは一度もなかったはずだ。

 だから僕たち家族は、酷い目に遭ってもこの村で暮らしていくしかない。

 でも、家族が揃っていれば大丈夫。

 そんな風に、思ってた。

 あの日が、来るまでは――――――――――。

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