一色隊の異種間会話ができちゃう不思議ボーイ、結城心
二日目の午後は、騎馬能力を計測する試験からの始まりだ。
文字通り、馬を最も自由に操ることのできた者によい成績が与えられる。
「あいつ、すごいな。まるで平らな道でも走ってるみたいに、障害物もどんどん越えてるぜ」
「俺なんて、何回も振り落されたっていうのに……」
「………………………………」
「心くん、どうしたんですか? あんなにいい成績だったのに、元気がないですね」
「……僕だけズルみたいだなって」
「どういうことでしょう?」
「だって僕は、みんなと話せるから……」
「ああ、なるほど。ズルなんかじゃありませんよ。試験なんですから、自分が持っている力を使うのは当たり前です。それにみんな、心くんとお話できてとても嬉しそうに見えました」
「……ありがとう、晴久さん」
騎馬能力テスト成績一位、結城心。
彼は、動物と言葉を交わすことができるという不思議な能力の持ち主だった。
今回も馬とコミュニケーションをとりながら、試験に挑んだというわけである。
「なんか、会話してるように見えるな。馬に好かれやすい体質とかあんのか?」
「何もしなくてもどんどん馬が寄っていってるもんな。うちの隊に欲しかったぜ」
心は、騎馬戦専門部隊の隊員に目をかけられていた。
さて、いよいよ残す試験も一つとなった。